4. 放射線はどこにあるの?
4-1 自然にある放射線
- 自然放射線は、宇宙から地球に降り注いだり、地球上の岩石・食物などから出ており、人類は誕生以来、常に自然放射線を受けています。
- 自然放射線には、宇宙、大地等の体外(外部)から受ける放射線と、食物摂取や空気中のラドン等の吸入によって体内(内部)から受ける放射線があります。
(注)欧米諸国に比べ、日本人は魚介類の摂取量が多く、ポロニウム210による実効線量が大きい
出典:国連科学委員会(UNSCEAR)2008年報告書
公益財団法人 原子力安全研究協会「新版生活環境放射線(平成23年)」より作成
食物からの放射性物質の取り込み
私たちは食物に含まれる放射性物質からも放射線を受けています。
- 食物に含まれる主な放射性物質はカリウム40、炭素14などで、すべて自然に存在するものです。
- 食物摂取により体内に取り込まれた放射性物質からの放射線の量は、1年間に約0.99ミリシーベルト程度です。
- 食物を通して取り込まれた放射性物質は、時間とともにだんだん少なくなっていく上に新陳代謝されるため、体内でほぼ一定の割合に保たれ、それ以上増えることはありません。
出典:公益財団法人 原子力安全研究協会「生活環境放射線データに関する研究(1983)」,新版 生活環境放射線(平成23年)」より作成
原子力文化財団ホームページ:「原子力・エネルギー図面集」を基に作成
https://www.ene100.jp/zumen/6-2-4
4-2 自然放射線の地域や生活環境による差
日本国内でも地域によって放射線の量は違います。
- 大地に含まれる岩石の種類に差があるため、放射性物質を含む花崗岩が多い西日本の方が、放射線の量は多くなります。
- 生活環境の違いも大きく影響します。コンクリートの建物は放射線をさえぎる力が大きい反面、木造建築より建物自体から発生する放射線の量は多くなります。
- 飛行機に乗った場合は、高度が高いほど宇宙から受ける放射線の量が多くなります。
電気事業連合会ホームページ:「放射線Q&A」
https://www.fepc.or.jp/library/pamphlet/pdf/05_housyasen_qa.pdf
日常生活における被ばく量の比較
日本と世界の日常生活における被ばく量を比較すると、
- 日本はラドン及びトロンからの被ばくが少なく、食品からの被ばくが多いという特徴があります。
- 日本人は魚介類の摂取量が多いため、食品中の鉛210やポロニウム210からの被ばくが世界平均と比較して多くなっています。
- 放射線検査による医療被ばく線量は個人差が大きいのですが、平均すると日本人の被ばく量は極めて多いことが知られています。特にCT検査が占める割合が大きくなっています。
(注)宇宙線からの被ばくと航空機利用に伴う被ばくの合計値。
出典:国連科学委員会(UNSCEAR)2008年報告、
公益財団法人 原子力安全研究協会「生活環境放射線(国民線量の算定)第3版」(2020年)より作成
環境省ホームページ:「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和4年度版)」
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r4kisoshiryo/r4kiso-02-05-03.html
参考:放射線被ばく早見表
(注)放射線障害については、各部位が均等にガンマ線1Gyの吸収線量を全身に受けた場合、実効線量1,000mSvに相当するものとして表記
(注)空気中吸収線量率から実効線量への換算には0.7Sv/Gyを係数として使用
(注)電離放射線障害防止規則等の改正により、緊急作業従事期間中の放射線を取り扱う作業者の線量限度を2016年4月より250mSvに引き上げ
(注)上記の早見表は、対数表示になっていない
出典:UNSCEAR 2008年報告書ICRP Publication 103,
2007 公益財団法人 原子力安全研究協会「新版生活環境放射線(2011年)」などより作成
原子力文化財団ホームページ:「原子力総合パンフレット2022」
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-06.html