1.原子力発電
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- 1.原子力発電
- 原子力発電は、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出せず、少ない燃料で大量の電力を供給できる安定した電源です。
- また、数年にわたって国内保有燃料だけで発電が維持できる準国産エネルギーです。
- しかし、福島第一原子力発電所事故のように、事故が起こった時に甚大な被害に進展する可能性があり、安全性の確保が大前提です。
- 原子力発電所の再稼働にあたっては、大規模自然災害対策やシビアアクシデント対策等を強化した新規制基準に適合させることが必要です。
1-1 原子力発電の仕組み
原子力発電は、原子炉の中でウランが核分裂する時に出る熱で水を沸かして蒸気を作り、その蒸気の力でタービン・発電機を回転させて発電します。
原子炉の種類は、使用する冷却材(注1)減速材(注2)などによって区別されていますが、わが国の原子力発電所では、「軽水炉」と呼ばれる原子炉が採用されています。 この原子炉は軽水(普通の水)が減速材と冷却材に兼用されているのが特徴です。
「軽水炉」は、蒸気を発生させるしくみの違いによって「沸騰水型軽水炉(BWR:Boiling Water Reactor)」と「加圧水型軽水炉(PWR:Pressurized Water Reactor)」とに大別することができますが、日本には両方の型が設置されています。
(注1):核分裂によって放出された熱を原子炉から取り出し、原子炉を冷却する役割を果たします。
(注2):原子炉内で、核分裂で発生した高速の中性子のスピードを落とし、次の核分裂を起こしやすい状態にします。
沸騰水型炉(BWR)原子力発電のしくみ
核分裂反応によって発生した熱エネルギーで原子炉内の水を沸騰させ、高温・高圧の蒸気として取り出し、そのままタービンに送り発電機を回します。このため構造はシンプルですが、蒸気は放射性物質を含むため、タービンや復水器についても放射線の管理が必要となります。
東京電力株式会社、中部電力株式会社、東北電力株式会社、中国電力株式会社、北陸電力株式会社、日本原子力発電株式会社で採用。
加圧水型炉(PWR)原子力発電のしくみ
核分裂反応によって発生した熱エネルギーで温められた水(一次冷却材)が、BWRより高い圧力で原子炉容器⇔蒸気発生器を循環します。蒸気発生器で別系統の水(二次冷却材)と熱交換し、高温高圧の蒸気を得る方式です。この二次冷却材の蒸気でタービンを回しますが、蒸気は放射性物質を含まないため、タービンや復水器は放射線の管理が必要ありません。
九州電力株式会社、関西電力株式会社、四国電力株式会社、北海道電力株式会社、日本原子力発電株式会社で採用。
1-2 原子力発電の見通し
2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では、エネルギー安定供給の確保とカーボンニュートラル達成に向けて、原子力については、
- 安全を最優先に再稼働に向けて、関係者の総力を結集する
- 運転期間の延長など既設原子力発電所を最大限に活用する
- 次世代革新炉の開発・建設を進める
- 再処理・廃炉・最終処分のプロセスを加速する
- サプライチェーンの維持・強化に対する支援を強化する
などの方針が示されています。
更なる安全性向上、革新炉の研究開発
現在、アメリカ、カナダ、イギリスなど世界各国で「次世代炉・革新炉」と呼ばれる新しい原子炉の開発が加速しています。日本においても、軽水炉の更なる安全性向上、安全性や信頼性、効率性を抜本的に高める「次世代炉・革新炉」の開発に向けた検討が進められています。
出典:資源エネルギー庁ホームページ
「第5回革新炉WG関連資料3 三菱革新炉開発の取組み(三菱重工業株式会社提出資料)」
コラム
核燃料サイクル
出典:日本原子力文化財団HP「原子力・エネルギー図面集」 【7-2-1】原子燃料サイクル | エネ百科|きみと未来と。
- 我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としています。
- また、米国や仏国等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組むこととしています。