6. 放射線の人体への影響は?

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  6. 6. 放射線の人体への影響は?

X線が発見された当初は、放射線が人体に影響を及ぼすことは知られていませんでした。
しかしそれからまもなく多くの障害が出るようになり、生物への影響などの研究が進められました。

6-1 放射線による電離作用と影響の種類

壊変と放射線

画像:壊変と放射線

環境省ホームページ:「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和4年度版)」を基に作成
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r4kisoshiryo/r4kiso-03-02-01.html

放射線影響の種類

(注)ショウジョウバエを用いた動物実験で突然変異が起きることが発見されています。しかし、人については広島・長崎の被ばく者の調査でも、遺伝への影響は確認されていません。

画像:放射線の人体への影響

(注)しきい値:ある作用が反応を起こすか起こさないかの境の値のこと

日本原子力文化財団ホームページ:「原子力・エネルギー図面集」を基に作成
https://www.ene100.jp/zumen/6-3-2

6-2 人体へ影響を及ぼすメカニズム

細胞死と確定的影響(組織反応)

画像:細胞死と確定的影響

環境省ホームページ:「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和4年度版)」
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r4kisoshiryo/r4kiso-03-02-05.html

細胞の突然変異と確率的影響

画像:細胞の突然変異と確率的影響

環境省ホームページ:「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和4年度版)」
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r4kisoshiryo/r4kiso-03-02-07.html

(注)ショウジョウバエを用いた動物実験で突然変異が起きることが発見されています。しかし、人については広島・長崎の被ばく者の調査でも、遺伝への影響は確認されていません。

コラム

DNAと放射線

  • 私たちの体は、数十兆個の細胞が集まってつくられています。細胞の中には細胞核があり、その中にDNA(デオキシリボ核酸)があります。ほとんどの細胞は、細胞分裂によって新しく生まれ変わりますが、このとき、元どおりの働きをするための情報を新しい細胞に伝えるのがDNAの役目です。
  • DNAは、タバコや酒、食事、化学物質、放射線などによって傷つけられていますが、細胞のもつ能力で治されています。これをDNA修復といいます。一つの細胞で1日に1万個以上のDNAの傷ができて、それを修復することがくり返されていると考えられています
  • DNAに傷がついたとしても、正しく修復が行われれば、体への障害や子孫への影響は現れません。DNAの傷が正しく修復できなかったときに、影響が起こることがあります
  • がんの発生に至るまでには、遺伝子の傷が完全に修復されないまま細胞が生き続け、何段階にもわたる変異が重なることなどによって細胞のがん化が起きます。ある確率でがんが発生し、受けた放射線量が多いほどがんが発生する確率が高くなります。
画像:DNAと放射線
  1. 放射線の影響によりDNAの鎖が1本または2本切断されます。
  2. 鎖が切断されても、DNAの傷が修復します。
  3. 切断されたところに、他のDNAがまぎれこんだり、誤った箇所でつながってしまい、修復ミスが起こることがあります。
  4. 修復ミスが起こった場合、変異細胞が生まれて治らないと、がんになることがあります。
  5. 細胞が死ぬことによってその臓器が働かなくなるのは、放射線の量が一定の量以上になると起こります(「確定的影響(組織反応)」)。(上のグラフ)
  6. 変異細胞が増えてがんになる割合は、放射線の量に比例して増えると考えられています(「確率的影響」)。(下のグラフ)

出典:国立がん研究センター資料より作成

原子力文化財団ホームページ:「原子力総合パンフレット2022」を基に作成
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-04.html

コラム

放射線と生活習慣によるがんのリスク

国立がん研究センターの研究によると、放射線被ばく線量によって相対リスクがどの程度高くなるかを比べると、放射線被ばく線量が、

  • 1,000~2,000ミリシーベルトで1.8倍
  • 500~1,000ミリシーベルトで1.4倍
  • 200~500ミリシーベルトで1.19倍
  • 100ミリシーベルト以下では発がんリスクを検出することが極めて難しい

と予測されています。

生活習慣とがんの相対リスクを比べると、

  • 喫煙や大量飲酒の習慣がある人は、1.6倍
  • 肥満では、1.22倍
  • 運動不足では、1.15~1.19倍
  • 野菜不足では、1.06倍

がんの相対リスクが高くなると推計されています。

放射線被ばくと生活習慣によるがんのリスク比較を比較すると、

  • 継続した喫煙や大量飲酒は1,000~2,000ミリシーベルト程度
  • 運動不足は200~500ミリシーベルト
  • 野菜不足は100~200ミリシーベルト

の被ばくのリスクと同等とされています。

画像:放射線と生活習慣によってがんになる相対リスク

(注) 放射線は、広島・長崎の原爆による瞬間的な被ばくを分析したデータ(固形がんのみ)であり、長期にわたる被ばくの影響を観察したものではない
注1 運動不足:身体活動の量が非常に少ない
注2 野菜不足:野菜摂取量が非常に少ない
出典:(独)国立がん研究センター調べのデータより作成

原子力文化財団ホームページ:「原子力総合パンフレット2022」を基に作成
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-04.html

コラム

放射線と生活習慣によるがんのリスク

国立がん研究センターの研究によると、放射線被ばく線量によって相対リスクがどの程度高くなるかを比べると、放射線被ばく線量が、

  • 1,000~2,000ミリシーベルトで1.8倍
  • 500~1,000ミリシーベルトで1.4倍
  • 200~500ミリシーベルトで1.19倍
  • 100ミリシーベルト以下では発がんリスクを検出することが極めて難しい

と予測されています。

生活習慣とがんの相対リスクを比べると、

  • 喫煙や大量飲酒の習慣がある人は、1.6倍
  • 肥満では、1.22倍
  • 運動不足では、1.15~1.19倍
  • 野菜不足では、1.06倍

がんの相対リスクが高くなると推計されています。

放射線被ばくと生活習慣によるがんのリスク比較を比較すると、

  • 継続した喫煙や大量飲酒は1,000~2,000ミリシーベルト程度
  • 運動不足は200~500ミリシーベルト
  • 野菜不足は100~200ミリシーベルト

の被ばくのリスクと同等とされています。

画像:放射線と生活習慣によってがんになる相対リスク

(注) 放射線は、広島・長崎の原爆による瞬間的な被ばくを分析したデータ(固形がんのみ)であり、長期にわたる被ばくの影響を観察したものではない
注1 運動不足:身体活動の量が非常に少ない
注2 野菜不足:野菜摂取量が非常に少ない
出典:(独)国立がん研究センター調べのデータより作成

原子力文化財団ホームページ:「原子力総合パンフレット2022」を基に作成
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-04.html

6-3 環境中に放出された放射性物質はどうなるの?

環境中に放出された放射性物質は、大気・土壌・河川・湖沼・海洋などの環境中を移行します。放射性物質を含む食物を食べることで、人は放射線を受けます。

放射性物質は、さまざまな経路から食物中に取り込まれます。

放射性物質の環境における移行

画像:放射性物質の環境における移行

電気事業連合会ホームページ:「放射線Q&A」
https://www.fepc.or.jp/library/pamphlet/pdf/05_housyasen_qa.pdf

食品中の放射性物質の基準値

放射性セシウムの基準値

(単位:ベクレル/kg)

食品群 日本(注) アメリカ E U
飲料水 10 1,200 1,000
牛乳 50
一般食品 100 1,250
乳児用食品 50 400

(注)放射性ストロンチウム、プルトニウムなどを含めて基準値を設定(2012年4月1日から)

コラム

原子力施設での区域区分と周辺の環境放射線モニタリング

原子力発電所での区域管理区分

原子力施設では施設エリアを目的別に大きく3つに区域区分しています。

  • 「管理区域」は原子力施設において放射線、放射性物質による放射線障害を防止するため人の出入りを制限している区域。
  • 「保全区域」は放射線の管理は必要ないが施設の保全を必要とする場所で「管理区域」以外の区域。
  • 「周辺監視区域」は原子力施設に起因する一般公衆の被ばく線量を法令に定める値を超えないよう一般の方々の不要な立ち入りを制限する区域。
画像:原子力発電所での区域管理区分

原子力施設周辺の環境放射線モニタリング

  • 原子力施設内で発生した放射性物質が外部に放出されると、周辺環境へ影響を与えることになります。このため、放射性物質の放出について厳しく管理する必要があります
  • 原子力発電所の運転中には、微量の放射性物質が周辺の環境に放出されます。この放射性物質による実効線量については、年間0.05ミリシーベルトを目標値として設定し、一般の人の線量限度である年間1ミリシーベルトに比べ十分低い値に管理されています
画像:原子力施設周辺の環境放射線モニタリング

日本原子力文化財団ホームページ:「原子力総合パンフレット2023
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-07.html

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