エネルギー関連施設見学レポート

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当会はエネルギー・環境問題に対し「今、国内ではどのように対応しようとしているのか」について情報収集するために、さまざまなエネルギー関連施設を訪問・見学しています。 今回は2024年10月13日に北海道天塩郡幌延町にある「幌延深地層研究センター」を見学してきましたので、その内容をご報告します。

見学施設

日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター
ここは高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発を行っている施設です。
原子力発電所から出る使用済燃料から、燃料としてまだ使えるウランとプルトニウムを回収した後に残る高レベル放射性廃棄物を、最終的に地下深い地層中に処分することは、国の基本方針(「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」により規定)です。
この施設は高レベル放射性廃棄物の地層処分技術を「確認」すると共に、技術の「高度化」、「信頼性の向上」、「技術開発」に取り組んでいます。

見学レポート

施設見学に先立ち、ゆめ地創館に施設概要の説明があり、その後、展示物の説明及び調査坑道の見学をしました。
説明では、

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ゆめ地創館。ここで施設概要等の説明を受け、展示施設を見学しました。

坑道は3本の立坑(東立坑、西立坑、換気立坑)と深さ140メートル、250メートル、350メートルの水平坑道で構成されています。今回は西立坑から地下施設に入り、「250メートル調査坑道」を見学しました。
坑道を作るときは2メートルずつ掘削し、コンクリートで固める作業の繰り返しだったとのこと。掘削中、地層を観察し、地下水のサンプリング、岩石の硬度試験などを行い、3Dスキャナーで岩盤の形状を記録したそうです。
地下坑道は、地温が安定しており、年間を通して10度台。地下水の酸素濃度は非常に低く、ほとんど酸素が存在しない状態。この酸素の少ない環境は、人工バリアの金属が錆びるのを防ぐために重要ということでした。

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西立坑地下250メートルの研究施設を見学しました。複数のポイントでさまざまな角度から深地層の状態を確認していることが分かりました。

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見学中に以下の質疑応答がありましたので、こちらもご紹介します。

地層の圧力によって調査坑道が歪むことはないの?

幌延は地質学的には脆い堆積岩層のため、調査坑道は厚さ15cm程度の吹付コンクリートで補強しており、これで周囲の岩盤からかかる圧力を吸収しています。圧力でわずかに収縮しますが、坑道が歪むことはありません。

どのくらいの圧力がかかるのか?

深度250メートルで3~4MPa(メガパスカル)程度。

海外の先行事例を踏まえると、頁岩と堆積岩のどちらが日本には適していると考えるの?

日本の場合、地質ありきで最終処分場の場所を決めるわけではありません。候補地がどちらのタイプの地層であったとしても、適切に施設を建設できるように調査研究を進めています。

RI(放射性同位元素)を実験等に使用しているの?

RIは使用しません。挙動が同じであれば別の色素等を使用し対応しています。

「放射性廃棄物は持ち込まない」と協定で取り決めているが、RIも持ち込まないの?

持ち込みませんし、そもそも使用する予定がありません。また、放射性廃棄物を持ち込む想定で施設を建設していません。当然、施設内に放射性廃棄物を取り扱えるような場所も存在しません。

オーバーパックを地上で組み立てて地下に移動させるということだが、運搬の際の振動や衝撃で隙間ができたりしないの?

組み立て方次第で隙間ができない様に対処することが可能です。

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