7.電力関係 図面・データ集

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1 エネルギー自給率

主要国のエネルギー自給率

2019年度の日本の自給率は12.1%で、他のOECD諸国と比べても低い水準です。

主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)

画像:主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)

(出典)IEA「World Energy Balances 2020」の2019年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2019年度確報値。
(注)表内の順位はOECD 36カ国中の順位

我が国のエネルギー自給率

日本は、エネルギー源として使われる石油・石炭・天然ガス(LNG)などの化石燃料のほとんどを海外からの輸入に大きく依存しています。

1970年代に起こった「オイルショック」をきっかけに、化石燃料への依存度を下げようとエネルギー源の分散が進みました。

しかし、2011年に起こった東日本大震災の影響で国内の原子v力発電所が停止し、化石燃料への依存が増加しています。

一次エネルギー

石油、天然ガス、石炭、原子力、太陽光、風力などのエネルギーのもともとの形態

エネルギー自給率

国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で産出・確保できる比率

画像:主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)

2 電源別発電電力量の構成比

主要国の電源別発電電力量の構成比

主要国の電源構成は、資源の有無や保有する資源の種類等によって異なっています。

画像:主要国の電源別発電電力量の構成比

日本の電源別発電電力量の推移

日本は、エネルギー確保とリスク分散の観点から電源の多様化を図ってきましたが、2011年度以降の原子力発電所の停止により、火力発電の割合が増加しています。

画像:電源別発電電力量の推移

2030年度におけるエネルギー需給の見通し

政府より2030年度の温室効果ガス削減目標(2013年度比46%削減)を踏まえて、徹底した省エネルギーや非化石エネルギーの拡大を進める上での需給両面における様々な課題の克服を野心的に想定した場合に、どのようなエネルギー需給の見通しとなるかが示されています。

画像:2030年度におけるエネルギー需給の見通し

出典:資源エネルギー庁ホームページ「日本のエネルギー 2021年度版 『エネルギーの今を知る10の質問』」より作成

3 世界各地で起こっている電力需給ひっ迫

世界各地の電力需給のひっ迫状況(2021年)

世界各地で電力需給ひっ迫が起こっています。

その要因のひとつは、2015年以降、原油価格の下落で化石燃料への投資が停滞し、さらに脱炭素化の流れが重なって、供給力不足が深刻になったことです。

また、悪天候が続いて風力などの再エネが期待通り動かなかったことも影響しています。

画像:世界各地の電力需給のひっ迫状況(2021年)

(出典)エネルギー経済社会研究所作成
出典:資源エネルギー庁ホームページ「今こそ知りたい!日本のエネルギー事情―『エネルギー白書2022』」より作成

4 日本の電源別CO2排出

火力発電は石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やし、その熱エネルギーを利用して発電を行っているため、発電の過程でCO2を排出します。

一方、原子力発電は、ウラン燃料が核分裂した時に発生する熱を利用して発電しているため、太陽光発電や風力発電と同じように発電時にCO2を排出しません。

各種電源別のライフサイクルCO2排出量

画像:各種電源別のライフサイクルCO2排出量

出典:原子力文化財団ホームページ「原子力・エネルギー図面集」より作成

5 発電に必要な燃料の量

原子力は少量のウラン燃料で大きなエネルギーが取り出せるので、燃料の運搬、貯蔵の面でも優れています。

100万kWの発電所を1年間運転するために必要な燃料

画像:100万kWの発電所を1年間運転するために必要な燃料

出典:原子力文化財団ホームページ「原子力・エネルギー図面集」より作成

6 発電コストの試算

立地の制約などは考慮に入れず、新たな発電設備を更地に建設・運転した際のkWhあたりのコストを、一定の計算式に基づいて試算(既存の発電設備の運転コストではない)するなど、さまざまな条件を設けたうえで、機械的に算出した発電コストが試算されています。

基本費 建設費や固定資産税など
運転維持費 人件費や修繕費など
燃料費 化石燃料の価格や核燃料サイクルの費用など
社会的費用 CO2対策費や事故リスク対応費用など
政策経費 立地地域への交付金やIRR(「固定価格買取制度」の買取価格で優遇された利潤)相当政策経費など

2030年の電源別発電コスト試算結果の構成

画像:2030年の電源別発電コスト試算結果の構成

グラフの値は今回検証で扱った複数のシナリオのうち、IEA 「 World Energy Outlook 2020 」の公表済政策シナリオに基づいた試算値を表示。 コジェネは、CIF価格で計算したコストを使用。

電源を電力システムに受け入れるコスト

太陽光発電や風力発電などの再エネは、自然の状況によって発電量が変動します。そのため、このような電源を大量に導入する場合には、不足分や余剰分を調整する「調整電源」を使って、需要と供給のバランスをとる必要があります。

「調整電源」である火力発電では稼働率や発電効率が低下し、揚水発電では揚水時と発電時で蓄電ロスが発生するなど、コスト増となります。

このようなコストを「電源を電力システムに受け入れるコスト(統合コスト)」として試算されています

統合コストの一部を考慮した発電コスト(仮称) 今回検証に含まない
電源別の発電コスト
  • 資本費
  • 運転維持費
  • 燃料費
  • 社会的費用(CO2対策費)
  • 政策経費
  • 土地造成費
    今後、適地の減少に伴い、山地や森林等を造成する際のコストの増加
電源を電力システムに受け入れるコスト(統合コスト) 今回の試算にあたって考慮した要素
  1. 他の調整電源(火力等)の設備利用率の低下や発電効率の低下
  2. 需要を超えた分の発電量を揚水で蓄電・放電することによる減少分や、再エネの出力抑制
  3. 追加した電源自身の設備利用率の変化
  • 電力需給の予測誤差を埋める費用
    需要量の予測誤差
    陽光・風力の発電量の予測誤差
  • 発電設備容量の維持にかかる費用
  • ディマンド・レスポンスの効果
  • 基幹送電網につなぐ費用
    電源が基幹送電網から離れている場合
  • 基幹送電網の整備費用

参考:電源立地や系統制約を考慮した「統合コストの一部を考慮した発電コスト」

青いグラフは統合コストを含まない発電コスト(「2030年の電源別発電コスト試算結果」表と同じ)、黄色の点は統合コストの一部を考慮した発電コストです。

多くの電源で、その電源を電力システムへ追加した際に電力システム全体にコストが生じます。つまり電源単体で試算した発電コストよりもコストが増えています。

画像:統合コストの一部を考慮した発電コスト

出典:資源エネルギー庁ホームページ「電気をつくるには、どんなコストがかかる?」より作成

7 電気の特性

直流と交流

画像:直流と交流

直流は電圧と電流の向きと大きさが変化しない電気の流れ方です。

直流を出す代表的なものは「乾電池」です。乾電池に豆電球をつなぐと光りますが、この時に流れている電気の流れは直流となっています。

交流は電圧と電流の向きと大きさが周期的に変化する電気の流れ方です。

交流を出す代表的なものは家庭の壁にある「コンセント」です。コンセントに扇風機をつなぐと回りますが、この時に流れている電気の流れは交流となっています。

【参考】一般的に電子機器は直流で作動しています。このため、私たちが利用している多くの電気製品は、電気製品の内部で交流を直流に変換して使用しています。

出典:Electrical Information ホームページ「『直流』と『交流』の違いとは?図解でわかりやすく説明します!」より作成

電気の旅

発電所で作られた電気は、50万ボルトや22万ボルトの送電線を通して1次変電所に集められ、そこで6万ボルトに変換されて、大規模工場などの特別高圧で受電する需要家や配電用変電所に送られます。

配電用変電所では、電気をさらに22千ボルトや6千ボルトに変換し、中小工場やビルなどの高圧で受電する需要家に送電するとともに、配電線に送られます。

一般の家庭には、電柱に設置されている柱上変圧器で100ボルトまたは200ボルトに下げて、送られています。

変電所で繰り返し徐々に電圧を下げるのは、「送電ロス(注7)」を少なくするためです。

(注7):電気を送電線で送ると、電線の電気抵抗により電気が熱に変わることで損失(ロス)が発生します。電圧が高いほど、ロスが少なくなるため、高い電圧で送り、変電所で電圧を下げて、使いやすい電圧で需要家に送っています。

画像:電気の旅

出典:九州電力送配電株式会社ホームページ「(参考)電気の特性や電気をお届けするまで」より作成

発電量(供給)と消費量(需要)とのバランス

電気は、電気をつくる量(供給)と電気の消費量(需要)が常に一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまいます

供給が需要を上回る場合は周波数が上がり、その逆の場合は周波数が下がります。この需要と供給のバランスが崩れてしまうと、電気の供給を正常に行うことができなくなり、安全装置の発動によって発電所が停止してしまい、場合によっては大停電になります。

画像:発電量(供給)と消費量(需要)とのバランス

出典:資源エネルギー庁ホームページ「日本初の"ブラックアウト"、その時一体何が起きたのか」より作成

電力需要と電源の組合せ

原子力発電、火力発電、太陽光発電、風力発電等は、発電のしくみや発電に使用するエネルギー源の違いから、それぞれ特徴を持っています。資源の有効活用とコスト低減の観点から、これらの発電を組み合わせ、需給運用を行っています。

画像:電力需要と電源の組合せ

出典:九州電力株式会社ホームページ「九電グループデータブック」より作成

慣性力の減少と停電リスク

太陽光、風力発電などの電子機器で「直流」から「交流」に変換している電源(非同期電源)は、周波数や電流の急激な変化に対して、周波数を維持する機能を持たず、周波数の変化が一定の値を超えると、その電子機器を守るため離脱(解列)します。

火力、原子力などのタービン(機械)の回転で発電している電源(同期電源)は、周波数や電流の急激な変化に対して、同じ周期で回転を維持する力(慣性力)が働くため、相対的に周波数や電流の急激な変化に対して、発電を継続し、周波数を維持する機能を有しています。

再エネ導入拡大に伴い、火力発電等が減ることで、この慣性力が減少することが懸念されています。

画像:慣性力の減少と停電リスク

慣性力不足によるブラックアウトが発生するイメージ

画像:慣性力不足によるブラックアウトが発生するイメージ

出典:資源エネルギー庁ホームページ「再エネと安定供給~求められる『発電を続ける力』」、「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第33回会合)資料」を基に作成

8 電気の使われ方

電気の使用量(需要)は、季節、時間、天候などにより大きく変化します。

一方、電気を一年を通して安定的に供給するには、発電設備は需要のピーク(最大電力)に合わせて必要になります。季節や時間帯により電力需要が大きく変化すると、発電設備の利用効率が下がり、結果、コストは割高になってしまいます。

季節別の電力需要の推移

九州エリアでは、季節別の電力需要の差は、約60年前と比較し約21倍に拡大しています 。

30万kW(1960年度)→ 635万kW(2020年度)

近年は、冷暖房機器の普及等により、夏季と冬季に電力需要のピークが発生し、季節別の差が大きくなっています。

画像:季節別の電力需要の推移

時間別の電力需要の推移

1日の中でも、時間帯によって電力需要の差が大きく、九州エリアでは、夏季の昼間(2020年度夏季最大電力発生日)は、夜間の約1.8倍 の電力需要が発生しています。

画像:時間別の電力需要の推移

気温や曜日による電力需要の変動

電力需要は、気温等の気象状況や曜日によって、大きく変動します。

画像:気温や曜日による電力需要の変動

9 電気料金の国際比較

日本の電気料金は、家庭用、産業用ともに高い水準となっていましたが、各国での課税・再エネ導入促進政策の負担増で格差は縮小してきています。

電気料金の低下に向けた努力を怠ってはなりませんが、その際には我が国固有の事情、すなわち、燃料・原料の大部分を輸入に依存しており、その安定供給が不可欠なこと等、供給面での課題に配慮する必要があるとされています。

画像:電気料金の国際比較

参考:過去の原油価格下落局面と現在の状況

エネルギー資源に乏しい日本では、輸入する燃料価格が電気料金に大きく影響します

このところ比較的安定していた燃料価格は、2020~2021年にかけて上昇しており、このような状況が、現在の電気料金に影響を与えています。

画像:過去の原油価格下落局面と現在の状況

出典:資源エネルギー庁ホームページ「日本のエネルギー(2022)」、「2021?日本が抱えているエネルギー問題(前編)」より作成

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