特集「どうする?地球温暖化」

どうする?地球温暖化

人類の知恵で乗り越える「温暖化」

今、世界各地で異常気象が相次いでいます。熱波、強い台風、干ばつ、洪水など、各地の状況は年を追うごとに深刻になっています。その背景に地球温暖化があることが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書で明らかになっています。さらに最新のIPCC報告書によれば、地球温暖化の大きな要因が私たち人間の活動である可能性が「極めて高い」と報告されています。このまま温暖化が進めば、人類はかつてないような気候の変化に直面することになります。このような危険感から、2015年のパリ協定で、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つということが合意されました。この冊子は地球温暖化について理解を深めていただくため、IPCCの報告書をもとに構成され、執筆者のひとりである江守正多さんに監修をお願いしました。手遅れになる前に、ぜひ地球温暖化のことを真剣に考えてほしいと思います。

国立環境研究所 地球環境研究センター
気候変動リスク評価研究室長
江守 正多

1970年、神奈川県生まれ。97年、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。同年より国立環境研究所勤務。専門は地球温暖化の将来予測とリスク論。IPCC第5次評価報告書第1作業部会代表執筆者。

温室効果ガスが地球を暖めるしくみ

地球は太陽から届く光のエネルギーによって温められています。地球は太陽から受けた光のエネルギーを吸収し、赤外線という形で宇宙に放出します(地球放射)が、その際、赤外線の一部は大気中にある温室効果ガスによって吸収されます。いったん吸収された赤外線はふたたび、周囲の四方八方に放射されます(再放射)。この繰り返しによって地球は温められるのです。温室効果ガスの代表的なものがCO2です。赤外線は「電磁波」の一種であり、CO2分子に作用して熱を発生させることが分かっています。もし大気に温室効果がない場合は地表の平均気温はマイナス18℃程度になると考えられています。

 
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