情報誌「TOMIC(とおみっく)」

64号 2021年9月発行(3/5)

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TOMIC第64号 福島第一原発における処理水の海洋放出について〜処理水に含まれるトリチウムとは?〜

「トリチウム」の放出状況と放出基準

国内外の原子力施設でも「トリチウム」が発生していますが、これらは天然の「トリチウム」と全く同じもので、各国の規制基準を満足した上で、海や大気などに放出されています。

現在、福島第一原発で保管されている「処理水」の量は約125万トンで、東京ドーム1杯分ですが、その中に含まれる「トリチウム」の量は、総量約860兆ベクレル(※2)、重さでは約15gで「大さじ1杯分」です。

国内外の原子力施設から放出されている「トリチウム」量

「トリチウム」の水中での濃度基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)が60,000ベクレル/ℓ以下と定めています(国内基準も同様)。これは、その濃度の水を1年間飲み続けたとき(年間1トン)に、被ばく量が1ミリシーベルト(※3)以下になるという基準です。

今回の海洋放出の際には、「処理水」を大量の海水で希釈して、「トリチウム」の濃度を1,500ベクレル/ℓ未満にして放出します。これは世界保健機関(WHO)が飲料水の基準として設けている「トリチウム」濃度10,000ベクレル/ℓ以下よりもはるかに少ない数字です。

放出されている「トリチウム」量と放出濃度基準の比較

[※2.3 ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)]

ベクレルとは、放射性物質が放射線を出す“能力”を表す単位のことで、数値が大きいほどたくさんの放射線が出ていることになります。

シーベルトとは、放射性物質が出す放射線によって、人体がどのような影響を受けるかという点に注目して考え出された単位で、数値が大きいほど人体が影響を受けやすいことになります。

1シーベルト=1,000ミリシーベルト=1,000,000マイクロシーベルト。

 
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