講師コラム「エネルギーの明日」

エネルギー・環境問題の専門家に、毎回、様々な角度からエネルギーの視野を広げるお話を伺います。

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Vol.13 消費行動が社会を変える!

消費生活アドバイザー
石窪 奈穂美 氏

私たちは毎日何らかのモノを消費して生きていますが、エネルギーもまた私たちが消費するモノのひとつです。エネルギーであれ、その他の製品・サービスであれ、どういう消費行動をするかは社会に大きな影響を与えます。今回は消費生活アドバイザーである石窪奈穂美氏に、より良い社会を実現するために消費者としてどう行動すればいいかを伺いました。

石窪 奈穂美 氏

家庭部門で増えているエネルギー消費

日本のエネルギー消費は1973〜2017年で1.2倍になっていますが、産業部門が0.9倍と減少しているのに対し、家庭部門が2.0倍、業務部門が2.1倍、運輸部門が1.7倍となっています。つまり、家庭や日常生活に関係がある部門での消費が増えているということです。

家庭部門で消費が増えた理由は私たちの暮らしが大きく変化したからです。各家庭でたくさんの家電製品を保有するようになり、テレビやエアコンは一家に1台ではなく、一部屋に1台になりつつあります。新しい家電製品も次々に発売され、パソコンや携帯電話・スマートフォンなどのデジタル機器、温水洗浄便座、衣類乾燥機など便利な家電を所有するようになりました。しかも家電製品は一つ一つは省エネ化していますが、大型化しています。

世帯数が増えたことも影響しています。核家族やひとり暮らしであっても冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電製品をひと通り所有しているので、世帯数が増えるとエネルギー消費も増えることになるのです。こうした暮らしの変化は便利さや豊かさを追求した結果だといえます。

先進国と同じように便利な暮らしを新興国や途上国でも追求するとどうなるでしょうか。世界中の人が日本人と同じ生活をすると、地球2.8個分が必要だといわれています。これからは自分の国のことだけでなく、他国と協力して持続可能な社会を築いていくことが求められています。

地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出は、人間の活動による影響の可能性が極めて高いという報告もあります。その多くが化石燃料を使ったエネルギー消費です。地球環境を守るためにも、私たち一人ひとりの行動が問われているのです。

最終エネルギー消費と実質GDPの推移

家庭用エネルギー消費機器の保有状況

 
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